更新日: 2020年11月27日
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南阿佐ヶ谷の人気酒場「田っくん商店」の「その2」がオープン。

9月9日、南阿佐ヶ谷駅から程近い場所にオープンした「田っくん商店 その2」。2017年6月に代田橋から南阿佐ヶ谷に移転オープンし、人気酒場になった「田っくん商店」の2号店だ。店主の畑 琢也氏は、30歳を過ぎてから独学で日本料理を勉強。「手間を惜しまない日本料理を低価格で!」がモットーだ。酒場の臨場感溢れるコの字型のカウンターで、自慢の料理と厳選した日本酒や焼酎をリーズナブルに提供する。

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創業当初、一時は店が潰れる寸前までに。一念発起して料理を勉強

JR中央線・阿佐ヶ谷駅から南へ徒歩で10分くらいのところに位置する地下鉄丸の内線・南阿佐ヶ谷駅。その南阿佐ヶ谷に2017年6月にオープンし、「割烹レベルの料理を立ち飲みで気軽に楽しめる」と人気店になったのが「田っくん商店」だ。店主の畑(はた)琢也氏は島根県出身で、現在44歳。「割烹レベル」という評判からすると少し意外だが、畑氏が飲食業の道に入り、本格的に日本料理を学んだのは30歳を過ぎてからだという。元々は子供の頃から好きだった古いレコードを扱う仕事をしていた。

畑氏が飲食店をやることになったのは、京王線・代田橋駅近くにあった行きつけの居酒屋店主に、「自分はもう店を辞めるので、何か始めたいならここでやれば」と声をかけられたのがきっかけ。わずか1.2坪の小さな店舗だったが、レコードの仕事に将来的な不安を感じていた畑氏は誘いに乗り、約10年前に「田っくん商店」を創業した。しかし、創業はしたものの、それまで飲食業とはほとんど無縁。一度も揚げ物を作ったことがなかったというほど料理は素人で、売上の確保もままならなかった。一時はこのままでは店が潰れるという状況に追い込まれた。そうした中、畑氏は一念発起。応援してくれる常連客に「自分が料理を覚えるまで試させて欲しい」とお願いし、試作を繰り返しながら料理を覚えたという。料理のジャンルは、自身が好きな日本料理を選択。少しでも時間があれば様々な店を食べ歩くなどして独学で日本料理を学び、その努力が実って数年後には「割烹レベル」と評される評判を獲得する。
南阿佐ヶ谷駅から徒歩で1分ほどの路地に立地。大きな暖簾がインパクト大

ユニークな外観などに、遊び心のある経営センスも光る

代田橋の1.2坪の店でスタートした「田っくん商店」は、創業から約7年後の2017年6月、南阿佐ヶ谷に移転オープン。南阿佐ヶ谷駅から徒歩2分ほどの住宅街の入口に位置する場所で、今度は9坪の店舗だ。椅子6席・立ち10席のコの字型のカウンターの中で畑氏が腕をふるい、地元客が帰宅途中に気軽に立ち寄れる酒場として人気店になった。この南阿佐ヶ谷の「田っくん商店」の「その1」は、クリーニング屋の跡地に開業。畑氏はクリーニング屋のレトロな看板が気に入り、ファサードを作る際にあえて残した。それが「クリーニング屋の看板が面白い酒場」という口コミにつながる。営業中、白衣とネクタイをびしっと決めて店に立つ畑氏は、まさに日本料理と真摯に向き合う料理人だが、同時にこうした遊び心のある経営センスも随所に光っており、それは「田っくん商店 その2」でも見てとれる。

今年9月9日、南阿佐ヶ谷駅からすぐの場所にオープンした「田っくん商店 その2」が、店構えでまず大きなインパクトを与えているのが「その2」と記した大きな暖簾。「その2」の「2」を、指数字のポップなイラストで記した大きな暖簾は遊び心満載だ。「若い人にも来店してもらえるきっかけにしたかった」と畑氏は話す。この暖簾は、いい意味で店の敷居を下げている。ハードルを低くし、その上で「割烹レベル」の料理が楽しめるというギャップの作り方が巧みだ。一方、8坪弱の店内は、「その1」よりもモダンな雰囲気で、木の温かみとコンクリートを融合させたデザイン。畑氏と妻の綾子さんをメインとした小人数体制でも、より多くの来店客に対応できるように、客席は「その1」と同様にコの字型のカウンターにしている。尚、オープン当初は椅子席も設けたが、椅子があると壁までの距離が狭く、思ったよりも窮屈だったことから、今後は全席を立ち席(約16席)にする予定だ。
オープンキッチンを囲むコの字型のカウンターを配した店内。内装は店主の畑 琢也氏が自らデザインした

一般的な立ち飲みとは明らかに違う、技アリの日本料理の数々

料理については、「手間を惜しまない日本料理を低価格で!」提供することが畑氏の信条。刺身から焼き物、揚げ物、炒め物まで、その一つ一つに日本料理の仕事やひとひねりのワザが感じられる料理を手頃な価格で揃える。例えば取材時の料理では、刺身も「あじ」(490円)、「カツオ」(590円)、「あわび姿造り」(790円)などに加えて、「漬けまぐろ黄身和え」(690円)、「炙りするめいか自家製のり醤油」(790円)、「真鯛と梅水晶の塩昆布和え」(690円)といった味にひと手間を加えたメニューを用意。その他のメニューも、「白魚とじゅんさいの土佐酢ジュレ」(590円)、「かしわ松風焼き」(450円)、「ハモ柚庵焼き」(690円)、「真鯛焼き浸し梅出汁」(890円)、「牡蠣昆布焼き」(500円)、「れんこんまんじゅう」(690円)、「ぼら白子天ぷら」(790円)、「本日の海鮮ときの子の和製グラタン」(690円)、「さわら豆鼓蒸し」(890円)、「栗の渋皮揚げ」(490円)、「カツオレアカツ自家製らっきょ和風タルタル」(790円)等々、一般的な立ち飲みのメニューとは明らかに違う「日本料理の料理人が作る酒肴」の数々だ。また、「料理は選び切れないくらいある方が僕は楽しい」(畑氏)という理由から、小さな酒場としては料理の品数がかなり豊富なのも特徴。「妻とは5年前くらいから一緒に店に立つようになり、料理は僕が教えたのですが、今ではものによっては僕よりも仕事が早い(笑)」(畑氏)という綾子さんが、その豊富な料理の提供を力強くサポートしている。
初めての利用客におすすめすることが多い「本日のおまかせ6種盛り合わせ」(1200円)。写真は「白魚とじゅんさいの土佐酢ジュレ」、「ドライいちじくと薩摩芋のクリームチーズ寄せ」、「鶏笹見天ぷらオリーブ醤油」、「浸し豆」等
そして、「田っくん商店」では、「当店は酒場なのでターゲットは酒呑み」ということを明確にし、子供客はもちろん、大人でも酒を飲まない人はお断りにしている。食事客も取り込むのではなく、あくまでも「お酒とともに料理を味わってもらう酒場である」と潔く割り切っている。アルコールメニューで特に店の売りにしているのは日本酒と焼酎。日本酒は季節限定銘柄を積極的に扱うなどして日々銘柄を変えながら毎日10種以上を用意し、一律690円(130ml弱)で提供する。「古酒(熟成酒)」を充実させているのもこだわりの一つだ。また、一方では「やかんハイボール」(5杯分・1590円)、「やかんレモンサワー」(5杯分・1790円)という気軽な酒場らしいアルコールメニューも用意。お客が自分で注ぐ「やかん」スタイルが、店側の負担を軽減することにもつながっている。
「柿とくるみの白和え」(590円)。季節の味を楽しめる日本料理らしい一品だ。リーズナブルでありながら、盛り付けも美しい

「お客様に自慢していただける店」であり続けたい!

日本料理のベースと言えば「だし」。畑氏も毎日、カツオだしを始めとした数種類のだしを引いており、「今後はだしの料理を伸ばしていきたい」と話す。そうした考えもあって、「田っくん商店 その2」では、「その1」には無かった「おでん」を新たに提供。人気酒場になっても現状に満足することなくチャレンジする姿勢が垣間見える。「その2」の出店に合わせて一時休業にした「その1」も、新たに料理人スタッフを雇用して営業再開の予定だ。

このように料理人として、経営者として、着実に歩みを進めている畑氏。そのクオリティーの高い料理は、10年前ド素人だったとはとても思えないレベルで、実際に舌の肥えたお客も唸らせているが、「今でもお客様の前に立つと緊張します」と話す畑氏に奢りはない。「昔からのファンで遠くから通ってくださるお客様、そしてご近所の方々に自慢していただける店であり続けたい」という言葉には、これからも「いい店」を作るための努力は惜しまないという決意がうかがえる。

(取材=亀高 斉)
店主の畑氏と妻の綾子さん(中央)、スタッフの武井もと美さん(右)
【店舗情報】
店名:田っくん商店 その2
住所:東京都杉並区成田東5-42-10凌雲閣マンション 1F
アクセス:南阿佐ヶ谷駅から徒歩1分
電話:070-8311-4442
営業時間:17:00~24:00
定休日:日曜
坪数客数:8坪弱・約16席
客単価:3500円
オープン日:2020年9月9日
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