更新日:
2023年11月10日
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【笹塚】ほっくりジュワ~!名物○○そばの『柳屋』と、賑わい変わらぬ十号通り商店街
住みたい町として人気の笹塚は、新宿まで電車で10分という立地ながら、どこかなつかしい雰囲気がある。その笹塚で長く続く『柳屋』も、なつかしさにあふれた、おいしいそばを提供し続けている。活気ある「十号通り商店街」を歩きながら『柳屋』を訪ねた。町歩き的そば探訪連載「あの町のあのそば」第4回(2019年11月19日公開)
- 東京ソバット団
- 本橋隆司=美味い立ち食いそばを求めて西へ東へ...
“ポテそば”といえば、あの店ではなく笹塚『柳屋』の「ジャガイモ天そば」
笹塚にある老舗の立ち食いそば店『柳屋』は、数多くそろえられた野菜の天ぷらが有名。その中でも、人気があるのがジャガイモ天だ。
細長く切られたジャガイモはほっくりとしていて、濃いめのツユがよく合う。コロッケと違い、ジャガイモの優しいうまみをストレートに楽しめる。
一時、チェーン店のフライドポテトそばが話題になったが、ジャガイモに関しては『柳屋』のほうがはるかに早かったのだ。
一時、チェーン店のフライドポテトそばが話題になったが、ジャガイモに関しては『柳屋』のほうがはるかに早かったのだ。
『柳屋』といえば、パンチが効いた濃いツユもそうだ
そして『柳屋』といえば、なによりこの濃いツユだ。下町方面で多い、パンチがあって、かえしのギュッときいた味で、甘めのツユが多い東京の西側では珍しい。
初めて食べたときは驚いた。まさか笹塚で食べられるとは思わなかったのだ。
また、薬味のネギにスライス玉ねぎが混ぜられているのも特徴。この玉ねぎがまた、ツユのうまみに深さを与えてくれるのだ。
初めて食べたときは驚いた。まさか笹塚で食べられるとは思わなかったのだ。
また、薬味のネギにスライス玉ねぎが混ぜられているのも特徴。この玉ねぎがまた、ツユのうまみに深さを与えてくれるのだ。
そばはゆで麺を使用。
食べていると、そばがみるみるツユに染まっていく。このそばをズズッとすすり、ツユのよくしみた天ぷらをかじる。まさに立ち食いそばの魅力が、ギュッと凝縮された一杯なのだ。
食べていると、そばがみるみるツユに染まっていく。このそばをズズッとすすり、ツユのよくしみた天ぷらをかじる。まさに立ち食いそばの魅力が、ギュッと凝縮された一杯なのだ。
濃いツユのルーツは、先代であるお父さんの故郷に由来しているとか
『柳屋』の歴史は古く、もともとは女将さんである若林さんのお父さんが、1953年に同じ地で始めた菓子店までさかのぼる。その後、スーパーの進出などもあり、1974年に立ち食いそば店に業種替え。
若林さんによると、その際にお父さんは下町の立ち食いそば店へ、勉強のため修行に行ったのだという。
若林さんによると、その際にお父さんは下町の立ち食いそば店へ、勉強のため修行に行ったのだという。
それで『柳屋』のツユが濃いのも合点がいった。要するに下町仕込だったのだ。
時期や店内に黄色が使われているところを見ると、六文そば・スエヒロ系のどこかだろうか。若林さんに店名を聞いたところ、なんという店なのかは定かではないとのこと。
ただ、若林さんは、お父さんは千葉県の銚子出身で、この濃さは小さい頃からしょうゆをきかせた味に馴染んでいたからかもしれないとも言っていた。
どちらにせよ、このツユが笹塚で味わえるのはうれしいことだ。
時期や店内に黄色が使われているところを見ると、六文そば・スエヒロ系のどこかだろうか。若林さんに店名を聞いたところ、なんという店なのかは定かではないとのこと。
ただ、若林さんは、お父さんは千葉県の銚子出身で、この濃さは小さい頃からしょうゆをきかせた味に馴染んでいたからかもしれないとも言っていた。
どちらにせよ、このツユが笹塚で味わえるのはうれしいことだ。
お父さんのこだわりを受け継ぐ天ぷらは商店街の主婦にも人気
『柳屋』の天ぷらは野菜を中心に種類が多く、天ぷらをテイクアウトで買い求める主婦も多いという。この豊富な天ぷらも、やはり六文そば・スエヒロ系にある特徴だ。
しかし、これにもお父さんのルーツが関係しているのかもしれないと、若林さんは言う。
お父さんは農家の出身で、もともと野菜をよく食べていたから、野菜の天ぷらを始めたのではないかと。聞けば、薬味のネギにスライス玉ねぎが入っているのも、お父さんが昔からやっていたことなんだとか。
しかし、これにもお父さんのルーツが関係しているのかもしれないと、若林さんは言う。
お父さんは農家の出身で、もともと野菜をよく食べていたから、野菜の天ぷらを始めたのではないかと。聞けば、薬味のネギにスライス玉ねぎが入っているのも、お父さんが昔からやっていたことなんだとか。
若林さんが店を継いでから16年、先代から数えると46年の歴史を持つ『柳屋』は、古くからの立ち食いそばの味を伝える店だ。そんな『柳屋』のある笹塚十番通り商店街は、やはり今でも老舗が多く残っている。
老若男女が行き交う活気ある「十号通り商店街」を歩いてみた
商店街は時間を問わず人通りが多いのだが、興味深いのは年齢層が幅広いこと。
子ども、学生、OL、サラリーマンに主婦、そして高齢の方々。下町方面の商店街では高齢者だらけというところもあるのだが、笹塚はすごくバランスがいい。
それだけに活気もあり、しっかりと生きているという感じがするのだ。
子ども、学生、OL、サラリーマンに主婦、そして高齢の方々。下町方面の商店街では高齢者だらけというところもあるのだが、笹塚はすごくバランスがいい。
それだけに活気もあり、しっかりと生きているという感じがするのだ。
若林さんによると、個人店はかなり少なくなり、今はチェーン店がほとんどと言うのだが、ちらほら現役バリバリの個人店もある。
また、新宿に近く大きな買い物はそちらでする人が多いため、売られているものも食料品や生活用品など身近なものが多い。
この商店街を歩くとなんだかホッとするのは、店から人間くさい生活感を覚えるからなのだろう。
文化遺産とも言える老舗ラーメン店などいまも健在、バリバリだ
さて、笹塚に来ると、まず行っておきたいお店がある。十号通り商店街を進んだ先、十号坂にあるラーメン店の『福壽』だ。のれんに「創業67年」と書かれているが、調べてみると創業は1952年。柳屋が菓子店として始まる1年前なので、ほぼ同期。
いわゆるノスタルジックラーメンで、その外観とともにファンが多い。最近はテレビなどメディアで取り上げられることが多く、開店前には行列を見かけることがある。
そばを食べてきたため『福壽』のラーメンは食べなかったが、ここはやっているのを確認するだけで満足だ。なにしろあるだけで価値のある、文化遺産のようなものなのだから。
そばを食べてきたため『福壽』のラーメンは食べなかったが、ここはやっているのを確認するだけで満足だ。なにしろあるだけで価値のある、文化遺産のようなものなのだから。
同じく十号坂にある『八幡せんべい』は、1963年の創業だ。現地から生地を取り寄せて焼く草加せんべいが名物。
バリバリと固くしょうゆのきいたせんべいは、東京育ちの筆者には、まさに王道の味。
これ、じいちゃんちでよく食べたなぁ。
これ、じいちゃんちでよく食べたなぁ。
古いものと新しいものが混在することで生まれる活気を感じる
十号通りや十号坂は『福壽』のような老舗がある一方、新しい飲食店もしっかりと根を張っている。古いものと新しいものがうまく混在しているのが笹塚の特徴で、それが幅広い層から人気がある理由なのだろう。
老舗大衆そば店の新しい味「キーマカレーそば」
そんな笹塚だけに、『柳屋』も新しい味にチャレンジしている。それがこのキーマカレーそばだ。
カレーそばを出す店は多いが、キーマは珍しい。
そのキーマはレトルトなのだが『柳屋』のツユに合うものを選んだとのことで、スパイシーな風味とツユがガッチリ組み合って、ほかでは味わえないうまさがある。
カレーそばを出す店は多いが、キーマは珍しい。
そのキーマはレトルトなのだが『柳屋』のツユに合うものを選んだとのことで、スパイシーな風味とツユがガッチリ組み合って、ほかでは味わえないうまさがある。
粘度が高く、そばにしっかり絡まるのもいい。薬味の玉ねぎもいい仕事をしてる。玉子の黄身を絡めれば、マイルドさが加わり、うまさが一気に奥深くなる。
いや~、うまいという言葉以外、見つからない。
いや~、うまいという言葉以外、見つからない。
十号通り商店街『柳屋』のそばに先代の想いを感じてほしい
都心にほど近い立地で、おしゃれな雰囲気がありつつも、どこか落ち着ける笹塚。
それは古いものと新しいものが同居しているからなのだろう。今度『柳屋』に行ったら、天ぷらそばとキーマカレーそば、どちらを食べようか?
それは古いものと新しいものが同居しているからなのだろう。今度『柳屋』に行ったら、天ぷらそばとキーマカレーそば、どちらを食べようか?
※2019年12月2日より、かけそば・うどんが10円値上げする予定です。
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- 東京ソバット団
- 本橋隆司=美味い立ち食いそばを求めて西へ東へ。バッと行ってバッと食ってバッと帰る東京ソバット団の団長。そば以外にもフリーの編集、ライターとしてウェブなどで仕事中。近著『立ち食いそば大図鑑』(スタンダーズプレス)、FBページ「https://www.facebook.com/tokyosobatdan/」
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