更新日: 2020年02月07日
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格安の客単価1100円にこだわる『HUB』が目指す理想の英国流パブ文化とは

日本おける英国風パブ文化の担い手『HUB』のキャッシュオンデリバリーは、店舗にとっては利益を圧迫しかねないシステム。にもかかわらず『HUB』がこだわる理由を考察します。——流行る店にはワケがある!知ってて得する最前線の飲食店情報を業界の事情通がご紹介する連載です。(2020年2月6日公開)

酒井慎平
外食ジャーナリスト、地域食材コーディネーター...

『HUB』には、ダイエー創業者・中内功氏が感動した英国パブ文化の魅力がつまっている

「街を歩けばパブに当たる」といわれ、イギリスの街に数万件はあるとされるパブ。
「パブ(Pub)」とは「Public House」の略称で、言葉のとおり街の中心部にある人々の社交の場として親しまれている。

そんな英国パブ文化を日本国内で普及し牽引してきたのが、『HUB(ハブ)』『82』を運営する株式会社ハブである。

ハブの創業者はダイエー創業者でもある故・中内功氏だ。
中内氏は小売業視察のため頻繁に渡英していた際、英国パブ文化に感動。日本に広めるべく1980年にダイエーの100%子会社としてハブを創業した。

2010年には「ロイヤルホスト」などを運営するロイヤルホールディングスがハブの筆頭株主になり、2017年12月に100店舗を達成。東証1部上場を果たした。
2020年1月時点で114店舗を展開。外食不況のなか2001年から業績不振による退店がない優良企業である。

とはいえ、パブは日本国内でも競争が激しい業態だ。その中で『HUB』が支持される秘訣について探ってみたい。

『HUB』が客単価1,100円にこだわる理由

「1000円札1枚でいい気分」をコンセプトに掲げる『HUB』の平均客単価は、1,100円前後と他の居酒屋チェーンと比べても相当安い。豊富なカクテルを揃えながらワンドリンク400円前後とリーズナブルにお酒を楽しめる。
売上におけるフード:ドリンク比率は2:8とドリンク率が圧倒的に高い。フードメニューに重点を置かず、アルコールメニューに手を抜かないのが『HUB流』だからだ。
全体売上のうち約40%が会員カードを利用するリピート客で、熱烈なファンに支持されているといえる。
英国風パブ『HUB』のフィッシュアンドチップス
▲「ザ・フィッシュ&チップス」650円(2ピース・税込)
売り上げ的には重きを置かなくとも、英国パブ名物は本格的な作り

売上を圧迫しかねない、キャッシュオンデリバリー

また『HUB』が「キャッシュオンデリバリー」を採用していることも、他の居酒屋と比べて客単価が低い要因になっている。「キャッシュオンデリバリー」とは、ドリンク・フードをカウンターで注文し前払いでお会計を済ませて、ドリンクを持って好きな席に着くスタイルのことで、『HUB』では全店舗採用している。

英国パブでは、このキャッシュオンデリバリーシステムが広く普及していて、本場のパブスタイルを『HUB』で体験できるのは実に嬉しい。

しかし、このシステムは客単価を圧迫する大きなリスクを伴っている。
キャッシュオンデリバリーにおいては、客は注文のたびに財布を取り出し注文カウンターまで行かなくてはならない。そのため、店舗側は再注文を促すことができず、客単価を上げにくいデメリットを抱えているのだ。
実際に客単価1,100円は、注文数の少なさを表した数値ともいえよう。
英国風パブ『HUB』の外観

『HUB』ならではの醍醐味とは?

では、『HUB』が売上を大きく圧迫しかねないキャッシュオンデリバリーシステムを続ける理由は何なのだろうか。

まずは、キャッシュオンデリバリーが、実は客をより自由にするシステムであることが挙げられる。
パブの魅力は静かに飲みたい1人客から、待ち合わせ場所に利用する客、2軒目利用まで、どんなシーンでも利用できること。
多様な利用方法に対し、自分の好きなタイミングで注文にいけるキャッシュオンデリバリーにおいては、客はどんな店よりも自由に酒を楽しめるのだ。

また、キャッシュオンデリバリーならではのコミュニケーションも魅力のひとつ。
『HUB』は、スタッフと客のカウンター越しの何気ない会話が英国パブの醍醐味と知っている。
パブという業態は、一般的な居酒屋などと比べるとスタッフと客との会話の機会は少ないが、『HUB』はその少ない接点を最大限に活かしている。そのコミュニケーションの有無は店舗の居心地を大きく左右するのである。

客単価を圧迫しても、パブのあるべき姿を追求した理想形。それがキャッシュオンデリバリーの正体だ。
中内功氏の感動は、いまなお『HUB』の各店舗に生き続けているのだ。
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酒井慎平
外食ジャーナリスト、地域食材コーディネーターにして、元『フードリンクニュース』編集長。全国の飲食企業やメーカーなど約3,000社に精通する外食ジャーナリストとして活躍。2019年4月に独立し、全国の地域食材のブランディング事業を開始した。 Instagram:@sakai.s https://www.instagram.com/sakai.s Facebook https://www.facebook.com/shinpei.sakai.3

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