更新日: 2018年09月13日
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日本酒が織りなす縁を旅するように紡ぐ「SAKE story」。日本酒の伝承をライフワークとする橋野元樹氏の情熱が満ちる

今、飲食マーケットを熱くする飲食店が集まるとして話題の西五反田。この地に日本酒業界で良く知られる、昨年、初代Mr.SAKEにも選ばれた橋野元樹氏が日本酒専門店「SAKE story」を8月8日オープンさせた。コンセプトは「旅と日本酒」とシンプルであるが、その意図は斬新であり奥は深い。3ヶ月を1クールとして一地域の日本酒、蔵元達をフューチャーし、さらには郷土食や人までも繋ぐという。

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見過ごしてしまうような小さな杉玉だけが目印の隠れ家だ
五反田駅西口の桜田通りの北側、JR線と目黒川の間に広がる西五反田の一帯には新しい飲食店が並び、飲食エリアとして夜毎、賑わいを見せている。そんな喧噪をあえて避けるかのような静かな通りにある、小さな3階建てビルの2階に構えるのが同店だ。5〜6年ほど前から独立を考え、出店の機会を探っていた橋野氏が日本酒を縁に巡り合った先輩のお店を譲り受けた居抜きの物件である。実家である笹塚「兎屋」を、人気の日本酒専門店に仕上げたほど日本酒を愛し、業界にも友人知人の多い同氏らしい出店である。看板もない店はビルの入り口に下がる小さな杉玉だけが目印の隠れ家だ。それは、ただ呑むだけではなく、その土地、土地で醸してきた日本酒の物語=ストーリーを楽しむ大人の酒場だからだ。それは旅するようにその地の魅力までも知って欲しいとの想いが込められている。高校生の頃から旅を愛し、大学卒業後には旅ライターを仕事にしていたほど旅もまたライフワークであった橋野氏。そんな経験や知識、思考をそのままコンセプトに反映させたのが同店であり、まさに彼自身でもある。
和の店らしい内装の落ち着いた環境。ゆっくりと日本酒を味わうに相応しい
まずは兎のイラストが描かれた漆塗り風お重のお通し(1000円)から「SAKE story」は始まる。中に入いるのは3ヶ月毎のテーマとする地の食材を使った4〜5種類の小鉢惣菜。その地のアテが穏やかに日本酒を引き立てる。日常のハレを楽しむ割烹酒場料理をテーマにメニューが並ぶのは、日本酒に寄せた一品となる。兎屋時代からの名物「すき焼きころっけ」(2ヶ950円)。「笹かまの磯辺揚げ」(2ヶ600円)。「香味野菜のきのこサラダ」(950円)。そしておすすめは、都内では味わえる店が限られるハイパー干物クリエイター藤間義孝氏の干物を高温コンフィ焼きにした「どんちっちアジの開き」(800円 小550円)。〆には稲庭うどんの横綱と称される「佐藤養助の稲庭うどん」(550円)がある。
年内は福島県の日本酒が味わえる。鳥獣戯画が描かれた酒器が可愛い。
お任せコースは5000円で1ドリンク付き。20時までの予約の場合には、お通しのお重に2品と1ドリンク付きで2500円とお得だ。テーマとなる地域の日本酒は、その地を代表するような銘柄も揃えるが、地元に愛されている大手蔵の酒の変わりダネや、現地の酒屋のPB等の限定酒、橋野氏が注目するまだ都内では珍しい銘柄も揃える。年内は開店に向け選んだ福島県をさらに1クール続けるという。提供する日本酒は100mlで600円から。日本酒のほかにクラフトビール、果実酒、ウィスキーなどその地域で造られるお酒を厳選し用意する。焼酎は、焼酎業界をリードする宮崎の黒木本店の「前割り焼酎‘Q’」(700円)、「陶眠中々」(600円)、「野うさぎの走り」(700円)とこだわりの焼酎も揃える。
スターターはお重入りのお通し。蓋を開けるワクワク感が楽しい
日常から着物を着こなす橋野氏は、和の伝統や物を大事にしている。名刺、器に描かれた古典日本画風の鳥獣戯画は女流浮世絵師と名高いツバキアンナ氏に依頼したオリジナル。店内も例外ではなく多くの和の素材、要素に溢れているが、その多くは日本酒を介して築いてきた関わり由来のものだ。ランチョンマットやコースターは会津木綿、酒器も本郷焼きや慶山焼きなど、開店時のテーマ地に選んだ福島県、会津の物である。
手前:どんちっちのあじの開き。パッリとした食感と香ばしい旨味が凝縮。奥:すき焼きころっけ
今後は一個人から飲食店関係者まで、より多くの人が日本酒を呑み楽しむ場、縁を繋ぐ場にして行きたいと考えている橋野氏。五反田を選んだ理由の一つには羽田、品川からのアクセスの良さにあるという。それは、東京を訪れる蔵元さん達をはじめとした、各地からの来店者の溜まり場になればとの想いからだ。さらに自身も各地へ積極的に出向き、多くのSAKE story=物語を繋いで行くことを目指している。

(取材=にしやま とみ子)
正面右:店主の橋野元樹氏。正面左:料理長の杉本辰夫氏
【店舗情報】
店名:SAKE story
住所:東京都品川区西五反田2-17-8 2階
アクセス:山手線・都営浅草線 五反田駅から徒歩4分
電話:03-6431-9198
営業時間:17:30〜23:00
定休日:日・祝日
坪数客数:13坪・18席
客単価:5000円〜6000円
オープン日:2017年8月8日
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