更新日:
2024年05月16日
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取材NG、予約不可のホルモン鍋の名店、西成『たつ屋』がついにメディアに登場!
10年以上も取材NGだったホルモン鍋の名店、西成『たつ屋』が遂にメディアに登場します。沈黙を守り続けた間も行列が絶えなかった『たつ屋』の絶品ホルモン鍋の秘密をぜひ知ってください。——変貌を遂げゆく大阪の街で、一見ではなかなかたどり着けない最深部の大阪グルメを神出鬼没にレポートする連載、今回は西成の『たつ屋』です。(2019年10月2日公開)
- 加藤慶
- 愛知県生まれの大阪在住。本業は政治や事件から...
西成のホルモン鍋の名店『たつ屋』が取材NGになった理由
その昔、西成グルメといえば真っ先に名前が上がる有名店があった。
店の名は『たつ屋』。
近頃は西成グルメが注目されて、安くて旨いお店が次々に取り上げられているが、グルメ雑誌でもテレビでも『たつ屋』を見かけることはない。
実はそれにはワケがあった。いつしか『たつ屋』は取材NGの店になっていたのだ。
『たつ屋』の店主であり、皆からマスターと慕われた主は10年以上前にガンで倒れた。幸い病状は回復したのだが、この病以降、『たつ屋』は取材拒否店となったのだ。
「取材受けると人がいっぱい来るやろ。もうええねん……。電話が鳴りっぱなしでかなわんわ」
かくいう私も何度も取材を断られ、それでも旨いから西成を訪れるたび足を伸ばして食べに行く。
マスコミに出なくとも、『たつ屋』の前はいつも行列。週末ともなれば1時間待ちが当たり前で、女性客も以前より劇的に増えた。
店の名は『たつ屋』。
近頃は西成グルメが注目されて、安くて旨いお店が次々に取り上げられているが、グルメ雑誌でもテレビでも『たつ屋』を見かけることはない。
実はそれにはワケがあった。いつしか『たつ屋』は取材NGの店になっていたのだ。
『たつ屋』の店主であり、皆からマスターと慕われた主は10年以上前にガンで倒れた。幸い病状は回復したのだが、この病以降、『たつ屋』は取材拒否店となったのだ。
「取材受けると人がいっぱい来るやろ。もうええねん……。電話が鳴りっぱなしでかなわんわ」
かくいう私も何度も取材を断られ、それでも旨いから西成を訪れるたび足を伸ばして食べに行く。
マスコミに出なくとも、『たつ屋』の前はいつも行列。週末ともなれば1時間待ちが当たり前で、女性客も以前より劇的に増えた。

▲動物園前駅下車。1番出口を出て左手の光景。公衆トイレの隣の階段を上るとお店がある。
ある日、これが最後とばかりに覚悟を決めて、『たつ屋』に取材依頼の電話をかけた。
「従業員も70代が多いし、あんまり忙しくなってもアカンから」
さっそく断る気マンマンの『たつ屋』のマスター。だが、この日はこちらも引かなかった。
「大将が倒れてもう10年以上でしょう。そろそろ取材させてよ」
1人で取材するので大きな機材は持ち込まない。時間も30分で良い。勝手にやるから話しかけない。
いわゆる、ダダ折れの状態で電話口で懇願。
すると、どうだ。
「時間は何時でもええの?」との返答が……。
ついにあの『たつ屋』が約10年の時を経て、メディアの取材を受諾。
氏名は公表しないと約束したので、マスターと呼ぶ。年齢は60代である。
「従業員も70代が多いし、あんまり忙しくなってもアカンから」
さっそく断る気マンマンの『たつ屋』のマスター。だが、この日はこちらも引かなかった。
「大将が倒れてもう10年以上でしょう。そろそろ取材させてよ」
1人で取材するので大きな機材は持ち込まない。時間も30分で良い。勝手にやるから話しかけない。
いわゆる、ダダ折れの状態で電話口で懇願。
すると、どうだ。
「時間は何時でもええの?」との返答が……。
ついにあの『たつ屋』が約10年の時を経て、メディアの取材を受諾。
氏名は公表しないと約束したので、マスターと呼ぶ。年齢は60代である。
10年ぶりの取材で語られた『たつ屋』の真実とは!?

約束通り、閉店の20時に『たつ屋』へと出向いた。店先には「営業終了」を示す札。
閉店1時間前に出向いたのにもかかわらず、これを何度見たことか……。その日のホルモンがなくなれば時間前閉店も普通。当然のごとく予約は不可。
閉店1時間前に出向いたのにもかかわらず、これを何度見たことか……。その日のホルモンがなくなれば時間前閉店も普通。当然のごとく予約は不可。

「今は平日でもそんな並ばへんよ。気候にもよるし。暑いとやっぱ遠のくしね。マスコミに出てた時は、みんなから見たよと言われて、それも嫌やった。家の近所に人に言われるのも嫌やし、お客さんにペラペラ喋られるのもそんな好きちゃうしね。体力も弱ってるから今のままでええ」
常連客らしきサラリーマンがひと組いるだけで客は他にいない。マスターは興味深い話を色々と教えてくれた。
常連客らしきサラリーマンがひと組いるだけで客は他にいない。マスターは興味深い話を色々と教えてくれた。
初めはジャンジャン横町のカウンターのみのホルモンうどん店だった
「戦後に大阪で出稼ぎにきた沖縄の人にホルモンうどんを教わったのが最初」
鶴橋出身のマスターは、独立開業をしようとテナント探しに西成を徘徊。すると運命の出会いが……。
「不動産のオッチャンが手招きしとって、なんやろ、と思って入ると『ええ時に兄ちゃん来たわ。すぐそこに空きテナントがあんねん。お店で商売やりなはれ』と言われて……。一言も自分が店をやるなんて言ってないのに運命かな。手招きされて(笑)」
こうしてジャンジャン横丁に初めての店舗を構えた。カウンター11席のみだった。
鶴橋出身のマスターは、独立開業をしようとテナント探しに西成を徘徊。すると運命の出会いが……。
「不動産のオッチャンが手招きしとって、なんやろ、と思って入ると『ええ時に兄ちゃん来たわ。すぐそこに空きテナントがあんねん。お店で商売やりなはれ』と言われて……。一言も自分が店をやるなんて言ってないのに運命かな。手招きされて(笑)」
こうしてジャンジャン横丁に初めての店舗を構えた。カウンター11席のみだった。

「当時は建築関係の一人客が多かったから鍋の方がええんちゃかな、と思いだした。それに客が『豚足ないんか?』『チャンジャないんか?』と言うし、実家はキムチ屋やったからこうしたスタイルになった」
開業以来こだわり続ける新鮮・高品質な『たつ屋』のホルモン
ホルモンにはこだわった。羽曳野や南港にツテがある仲買業者を頼って生の新鮮ホルモンを仕入れて以来、『たつ屋』ではそれがずっと続いている。
こうした生まれた「ホルモン煮込み」(350円・税込)。
よく見ると部位に白と黒がある。白はテッチャンで黒はフワ(牛の肺)。常連ともなると、「白」「黒」と言ってその部位だけで注文する。
こうした生まれた「ホルモン煮込み」(350円・税込)。
よく見ると部位に白と黒がある。白はテッチャンで黒はフワ(牛の肺)。常連ともなると、「白」「黒」と言ってその部位だけで注文する。

お好みでコチュジャン、生にんにくを調合。

臭みなんか一切あらへん。
黒は丁寧に下茹でしてから煮込んでいるので、食感がすこぶる良い。
この『たつ屋』は平成元年創業、5年後に今の場所に移転した。
「ホルモン鍋は当たるか分からへんかったから、最初はカセットコンロ2、3台からスタート。それが上手いこといったからガスコンロに換えたねん」
黒は丁寧に下茹でしてから煮込んでいるので、食感がすこぶる良い。
この『たつ屋』は平成元年創業、5年後に今の場所に移転した。
「ホルモン鍋は当たるか分からへんかったから、最初はカセットコンロ2、3台からスタート。それが上手いこといったからガスコンロに換えたねん」
隣に触れない広いカウンターもマスターのこだわり

『たつ屋』のカウンターは広々としたスペース。これもマスターなりのこだわりだ。
「隣の人の手が当たったり、狭いと気を遣うのも嫌やん」
こうして『たつ屋』は、人数待ちも関係なく、安くて、しかも落ち着けるお店となった(笑)。
「隣の人の手が当たったり、狭いと気を遣うのも嫌やん」
こうして『たつ屋』は、人数待ちも関係なく、安くて、しかも落ち着けるお店となった(笑)。
『たつ屋』名物ホルモン鍋はこのボリュームで900円!
『たつ屋』名物の「ホルモン鍋」(900円・税込)は醤油ベースのスープに、テッチャン、赤せんなどのホルモンに加え、キムチやニラ、もやしなどの野菜と豆腐が入る。
1人前といっても通常の1.5~2人前の大きさだ。
「最初は700円。徐々に値段を上げていって今は900円。それでも来てくれるんやから有り難いで」
1人前といっても通常の1.5~2人前の大きさだ。
「最初は700円。徐々に値段を上げていって今は900円。それでも来てくれるんやから有り難いで」

じっくり煮込んで、会話をしている間に完成。
この鍋、ガチで旨い。ホルモンを食べれば一口で素材が新鮮だとまる分かり。
この鍋、ガチで旨い。ホルモンを食べれば一口で素材が新鮮だとまる分かり。

筆者がこの『たつ屋』を初めて訪れたのは今から15年以上前。西成出身の後輩と一緒に来たのが最初だ。閉店は早ければ18時。居酒屋がオープンする時間に閉店すると聞いて驚いた記憶がある。

最後の客もすでに帰った。
この日は〆の「中華玉」(150円・税込)を注文して取材はお開きとなった。
昔ながらの中華麺で汁との絡みもいい。ペロリと1玉を完食した。
「お金出すから2号店をやらしてくれとか、時給いらんからうちのモンを働かせてくれとか、色々と言われましたが、すべて断ってます。うちの従業員たちもご飯の休憩とタバコ休憩ぐらいでずっと働きづめ。この環境を大切にしたいんですわ」
『たつ屋』、ホンマええ店やわ!
この日は〆の「中華玉」(150円・税込)を注文して取材はお開きとなった。
昔ながらの中華麺で汁との絡みもいい。ペロリと1玉を完食した。
「お金出すから2号店をやらしてくれとか、時給いらんからうちのモンを働かせてくれとか、色々と言われましたが、すべて断ってます。うちの従業員たちもご飯の休憩とタバコ休憩ぐらいでずっと働きづめ。この環境を大切にしたいんですわ」
『たつ屋』、ホンマええ店やわ!
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- 加藤慶
- 愛知県生まれの大阪在住。本業は政治や事件から芸能スキャンダルまで取材する週刊誌の記者兼カメラマン。食べ歩きが趣味で鶴橋や西成に頻繁に出没中…。
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