更新日:
2022年12月06日
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駒沢『IL GiOTTO』のふわりと溶ける自家製ロースハムのブルスケッタ
駒沢の住宅街にある一軒家レストラン『IL GiOTTO(イルジョット)』の名物は炭火で焼く熟成肉。料理からインテリアまでこだわり満載の空間を作り上げたオーナーシェフの高橋直史さんに、愛用する道具の話を伺いました。……一流の料理人が自ら愛用する3つの道具へのこだわりを語り、料理への哲学を詳らかにする連載『料理のプロの三種の神器』です。(全3話・中編/2020年2月29日公開)
- Sainowaki
駒沢の住宅街にある一軒家レストラン『IL GiOTTO(イルジョット)』のスペシャリテは炭火で焼く熟成肉。ファンの多くがこの肉を味わいにちょっと不便なこの場所を訪れます。肉中心の料理からインテリアまでこだわり満載の空間を作り上げたオーナーシェフの高橋直史さんに、愛用する道具の話を伺いました。(全3話・中編/2020年2月29日公開)
『IL GiOTTO』の儚くも美しいブルスケッタ
駒沢のイタリアン、『IL GiOTTO』の高橋直史さんが出してくれた二皿目はブルスケッタ。
ブルスケッタといえば、言うまでもなくイタリアンの代表的な前菜。
スライスしたパンを焼き、にんにくをすり込ませ、オリーブオイルと塩こしょう、トマトなどを乗せるのが一般的だ。
しかし、出されたお皿には、薄いパンの上にごくごく淡いピンク色したロースハムが踊るようにふんわり。
ブルスケッタといえば、言うまでもなくイタリアンの代表的な前菜。
スライスしたパンを焼き、にんにくをすり込ませ、オリーブオイルと塩こしょう、トマトなどを乗せるのが一般的だ。
しかし、出されたお皿には、薄いパンの上にごくごく淡いピンク色したロースハムが踊るようにふんわり。
▲「愛農ポークで作ったロースハムのブルスケッタ」1,400円(税抜)
ひと口食べると、ふわっと舌の上でとけた。とけて、消えた。大げさに思われるかもしれないが、「あれ? 今のなんだったのかな? 本当にロースハムを食べたのかな」という感じ。それほど、あと味がさらっとしている。
「口どけを意識して、脂身を多めに残してハムを作っているんですよ」
「口どけ」って、チョコレートやスイーツを作るときに意識するものでは? そんな驚きとともに、さらりとした旨みの秘密がわかった。
ハムの上にはすりおろした山わさびがふりかけられて、 雪の日の白ばらのように美しい。
「だいぶ前のことですが、イタリアから帰国したばかりというお客さまにハムをお出ししたら、『ホースラデッシュはない?』って聞かれたんです。『イタリアではこうして食べていた』って教えてもらって試してみたら、なるほどとてもよく合うんですね。以来、うちのブルスケッタはこのスタイルにしています。いい発見をさせていただきました。山わさびは、新鮮なものを北海道の農家から取り寄せています」
少しツンくる辛みがある山わさび。ハムの脂のやさしい旨みとの相性よく、お互いを引き立てている。
「口どけを意識して、脂身を多めに残してハムを作っているんですよ」
「口どけ」って、チョコレートやスイーツを作るときに意識するものでは? そんな驚きとともに、さらりとした旨みの秘密がわかった。
ハムの上にはすりおろした山わさびがふりかけられて、 雪の日の白ばらのように美しい。
「だいぶ前のことですが、イタリアから帰国したばかりというお客さまにハムをお出ししたら、『ホースラデッシュはない?』って聞かれたんです。『イタリアではこうして食べていた』って教えてもらって試してみたら、なるほどとてもよく合うんですね。以来、うちのブルスケッタはこのスタイルにしています。いい発見をさせていただきました。山わさびは、新鮮なものを北海道の農家から取り寄せています」
少しツンくる辛みがある山わさび。ハムの脂のやさしい旨みとの相性よく、お互いを引き立てている。
ピュアな高校生が育てるピュアな味わいの豚肉
このハムは滋賀県の名精肉店「サカエヤ」から届く「愛農ナチュラルポーク」という豚肉から作られている。
三重県伊賀市にある愛農学園農業高校で育てられる豚で、週に2~3頭しか出ない貴重なものだ。
特徴である甘く淡白な味わいの脂を最大限に活かすため、高橋さんはこの豚肉でハムを作っている。
愛農学園農業高校とは、全寮制で有機農業を実践する学校。養豚部があり、学生たちが年間150頭ほどの豚を管理している。
高橋さんはテレビ番組の撮影でこの学園を訪れたことがあるそうだ。
「広大ですばらしい環境なんですよ。学生は素直ないい子たちで、待ち時間になると輪になって歌を歌ったりしていて、その素朴さに感動しました。そんな純な子たちにたっぷりの愛情をかけられて育っているから、ピュアな味わいの豚肉になるんですね。イベリコ豚とか黒豚の特徴である野性味がある強い味わいとは正反対のものですが、僕が理想としているハムには適しています。今のところ、愛農ナチュラルポークでしか自家製ハムは作りません」
三重県伊賀市にある愛農学園農業高校で育てられる豚で、週に2~3頭しか出ない貴重なものだ。
特徴である甘く淡白な味わいの脂を最大限に活かすため、高橋さんはこの豚肉でハムを作っている。
愛農学園農業高校とは、全寮制で有機農業を実践する学校。養豚部があり、学生たちが年間150頭ほどの豚を管理している。
高橋さんはテレビ番組の撮影でこの学園を訪れたことがあるそうだ。
「広大ですばらしい環境なんですよ。学生は素直ないい子たちで、待ち時間になると輪になって歌を歌ったりしていて、その素朴さに感動しました。そんな純な子たちにたっぷりの愛情をかけられて育っているから、ピュアな味わいの豚肉になるんですね。イベリコ豚とか黒豚の特徴である野性味がある強い味わいとは正反対のものですが、僕が理想としているハムには適しています。今のところ、愛農ナチュラルポークでしか自家製ハムは作りません」
繊細な口当たりを生み出すスライサー
「デザートがわりに、最後にもうひと皿ブルスケッタを出して」とお客さまからリクエストされることがあるほど軽くてクリーミーなブルスケッタ。
その主役である「愛農ナチュラルポーク」を使った自家製ロースハムを切るのが、高橋さんが紹介してくれる2番目の道具・スライサーだ。
神経を集中させごく薄くハムを切り、切ったハムは手のひらでそっと受け止める。
「とにかく薄く切れるのがいいですね。手切りもいいですが、うちのハムは脂がやわらかいので、さっと切れるスライサーのほうが合っています」
その主役である「愛農ナチュラルポーク」を使った自家製ロースハムを切るのが、高橋さんが紹介してくれる2番目の道具・スライサーだ。
神経を集中させごく薄くハムを切り、切ったハムは手のひらでそっと受け止める。
「とにかく薄く切れるのがいいですね。手切りもいいですが、うちのハムは脂がやわらかいので、さっと切れるスライサーのほうが合っています」
スライサーの大きさは縦にも横にも50センチほど。肉のかたまりなどを置き、円盤状の刃に向かって少しずつ押しながらスライスしていく業務用の道具だ。
ピカピカに磨き上げられ、なかなかの迫力。艶消しされたシルバーで、静かなる実力者という感じ。
ピカピカに磨き上げられ、なかなかの迫力。艶消しされたシルバーで、静かなる実力者という感じ。
道具を育てる。そういう付き合い方がいい [PR]
自家製生ハムを切るほか、使いみちとしては仕込みのときにブロックの肉を切り分けたり、硬質なチーズを切ったり。使用歴は8年。
「切れ味がよく、ほかのスライサーでは切れない薄さまで切れるので、気に入っています」
「切れ味がよく、ほかのスライサーでは切れない薄さまで切れるので、気に入っています」
週に1回はメンテナンスの時間を作る。
「一般的には刃を回転させてハンディタイプの砥石を当てて研ぐのが一般的ですが、僕は、あえて機械から刃を外して研ぎます。400番の砥石で研いで、1000番で仕上げます。20分くらいはかかるけど、手入れしてかわいがると、それに応えてくれるようになりますね。道具を育てていく、というか、そういう付き合い方が好きなんです」
ちなみに高橋さん、調理道具にもこだわるが工具も好き。
「これ何に使うの?っていうような工具もいっぱい持ってます(笑)。いつか使うかなって思いながら、ついつい買い込んでしまう。それもまた楽しいんです」
(後編に続く)
「一般的には刃を回転させてハンディタイプの砥石を当てて研ぐのが一般的ですが、僕は、あえて機械から刃を外して研ぎます。400番の砥石で研いで、1000番で仕上げます。20分くらいはかかるけど、手入れしてかわいがると、それに応えてくれるようになりますね。道具を育てていく、というか、そういう付き合い方が好きなんです」
ちなみに高橋さん、調理道具にもこだわるが工具も好き。
「これ何に使うの?っていうような工具もいっぱい持ってます(笑)。いつか使うかなって思いながら、ついつい買い込んでしまう。それもまた楽しいんです」
(後編に続く)
高橋直史(たかはしなおふみ)
広尾『イル ブッテロ』で7年間修行したのち、渡伊。ボローニャの『ラ ヴォーリアマッタ』で骨太なトスカーナ料理を学ぶ。帰国後、30歳で独立し、2002年に『IL GiOTTO』を世田谷区駒沢に開店。2011年に道を挟んだ現在地に移転。生産者を訪問するなど、素材選びを大切にしている。シンプルながらエッジを利かせた料理で、炭火をあやつる肉焼きの名手として定評あり。
広尾『イル ブッテロ』で7年間修行したのち、渡伊。ボローニャの『ラ ヴォーリアマッタ』で骨太なトスカーナ料理を学ぶ。帰国後、30歳で独立し、2002年に『IL GiOTTO』を世田谷区駒沢に開店。2011年に道を挟んだ現在地に移転。生産者を訪問するなど、素材選びを大切にしている。シンプルながらエッジを利かせた料理で、炭火をあやつる肉焼きの名手として定評あり。
(写真=松園多聞 Matsuzono Tamon)
駒沢『IL GiOTTO(イルジョット)』
世田谷・駒沢通り沿いにあるイタリア料理店。少し奥まった入り口は、隠れ家的な雰囲気を醸し出す。滋賀の名精肉店『サカエヤ』からの熟成肉を使った料理が評判。アラカルトから食べたいメニューを組み合わせ、好みのコースに仕立てられるのが楽しい。店内はシンプルであたたかみがあり、リラックスしながら食事を楽しめる。火曜定休。
世田谷・駒沢通り沿いにあるイタリア料理店。少し奥まった入り口は、隠れ家的な雰囲気を醸し出す。滋賀の名精肉店『サカエヤ』からの熟成肉を使った料理が評判。アラカルトから食べたいメニューを組み合わせ、好みのコースに仕立てられるのが楽しい。店内はシンプルであたたかみがあり、リラックスしながら食事を楽しめる。火曜定休。
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