更新日: 2023年11月27日
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『おくとね』新橋名物「舞茸天そば」は考えつくされた完成形の一杯だった

今でこそポピュラーな食材になっている舞茸。その舞茸がまだマイナーだった20年以上前に、舞茸の天ぷらを売りにしていたのが、新橋の『おくとね』だ。ツユもそばも舞茸天に合わせたという、舞茸天そばの完成形を味わってほしい。(2020年2月13日公開)

東京ソバット団
本橋隆司=美味い立ち食いそばを求めて西へ東へ...

リピーター多数、「舞茸天そば」といえば新橋駅前ビル『おくとね』だろう

舞茸天を出す立ち食いそば店はいろいろとあるが、その中でもナンバーワンといわれているのが、新橋の駅前ビル1号館地下にある『おくとね』だ。『おくとね』といえば舞茸天、舞茸天といえば『おくとね』と言われるぐらいで、お客さんの7割は「舞茸天そば」を注文する。
刻んだ舞茸をうちわのように薄く揚げた天ぷらは、かなりの大きさ。カラッと揚がっていて、ひと口かじると、舞茸独特の香りうまみがが口いっぱいに広がる。

舞茸天のためにあるような加減のよいツユ

そして、ツユがまたよくできているのだ。
ダシの香りやかえしのうまみが主張しすぎず、ほどよい甘さを持つツユは、舞茸の香りを邪魔しない。舞茸天を活かすために作られたツユなのだ。そんなツユに舞茸天を沈めれば、香りがツユに移り、なんともいえないうまさになる。

そのツユをまとうそばは冷凍麺。昨年、そばを変えたようで、喉越し良く適度なザラつきもあり、すするごとに舞茸の香りを楽しめるようになっている。

創業当時は珍しかった「舞茸天そば」がいまでは『おくとね』の名物に

『おくとね』が使っている舞茸は群馬産のもの。26年前、老舗飲食店が居並ぶ駅前ビルで『おくとね』を始めるとき、他にない個性を出そうと採用した食材が、オーナーの親族が栽培していた舞茸だったのだ。当時はまだ一般的でなかった舞茸の天ぷらだったが、そのうまさがじょじょに評判を呼び、今ではすっかり駅前ビルの名物となっている。
昼どきには並びが出るほどの繁盛ぶり。しかし店内は立ち食いカウンターなうえ、常連客がほとんどなので回転がよく、ストレスなくそばを楽しむことができる。
『おくとね』の壁にはなぜか地図がいくつも貼られているのだが、これは地図好きなオーナーの趣味である。同じ地図好きなので分かるのだが、地図というのはなんとなく眺めるにはもってこい。これを見て「え~と、高輪ゲートウェイ駅ってここにできるのか」なんて考えながら、そばをすするのもまた一興なわけだ。

舞茸天の欠片がはいった「たぬき」もぜひ食べてみて欲しい

さて、舞茸天が名物なだけに店長は頻繁に揚げており、常に大量のストックがあるのだが、それでもタイミングが悪いと売り切れになってしまう。そういうときにおすすめしたいのが、たぬきそばだ。こちらのたぬきは、それ用に作る「揚げ玉」ではなく、揚げているときに出た「天かす」。つまり、たぬきには舞茸のかけら、そして香りがしっかり入っているのだ。
ちなみに店長も、舞茸が売り切れのときは、ぜひたぬきを食べてほしいと推薦していた。
ということで、寒い時期ではありますが、風の入らない駅前ビルだし、ここはあえて「冷やしたぬきそば」をチョイス。温かいそばより冷のほうが、たぬきの香りをダイレクトに味わえるのだ。
たぬきを確認すれば、期待通りに舞茸の欠片がしっかり入っている。もちろん、どれぐらい入っているかはその時次第。このギャンブル性も密かな楽しみだったりする。
そばを上げれば、まとわりついてくる舞茸たぬき。ズババっとすすれば、舞茸の香りが口に飛び込んできて、なんとも幸せな気持ちになれるのだ。混ぜ込むように入れられたワカメのシャキッとした歯ごたえも、また心地いい。

名店揃いの新橋駅前ビルのなかでも『おくとね』の存在感はピカイチだ

ちなみに『おくとね』には、かつてごはんものを出していたときの名残で紅ショウガがあるのだが、こいつを冷やしたぬきに入れてもいい。たぬきの油感が酸味でスッキリするので、ぜひ試してみてほしい。
汐留が開発されたこともあり、客足が鈍るどころか最近は以前より増えているという駅前ビル。『おくとね』の舞茸天人気も、まだまだ続きそうだ。
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『おくとね』新橋名物「舞茸天そば」は考えつくされた完成形の一杯だった

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東京ソバット団
本橋隆司=美味い立ち食いそばを求めて西へ東へ。バッと行ってバッと食ってバッと帰る東京ソバット団の団長。そば以外にもフリーの編集、ライターとしてウェブなどで仕事中。近著『立ち食いそば大図鑑』(スタンダーズプレス)、FBページ「https://www.facebook.com/tokyosobatdan/」

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