更新日:
2020年11月28日
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【森下】こんなところに立ち食いそば。◯◯がのった個性的な『芭蕉そば』が気になる
老舗の居酒屋が多く、賑わいを見せる江東区の森下駅前。しかしそこを少し離れた常盤は、かつての下町情緒を残しつつも、静けさが広がっている。松尾芭蕉がかつて庵を結んだ地のほど近くにある『芭蕉そば』を訪ねた。町歩き的そば探訪連載「あの町のあのそば」第1回(2019年7月30日公開)
- 東京ソバット団
- 本橋隆司=美味い立ち食いそばを求めて西へ東へ...
『芭蕉そば』の「芭蕉そば」にはなぜ“玉子焼き“がのっているのか?

立ち食いそばのネタと言えばだいたいが天ぷらなのだが、森下の『芭蕉そば』では、なんと玉子焼きが乗っている。
玉子だとしても定番は生卵や温泉玉子で、甘く焼かれた玉子焼きは初めて見るが、これがなかなかうまいのだ。
玉子だとしても定番は生卵や温泉玉子で、甘く焼かれた玉子焼きは初めて見るが、これがなかなかうまいのだ。

芭蕉そば(550円)のタネはほかに、小松菜、かき揚げ、ワカメ。
ツユはカツオがきいた江戸ツユではなく、甘めでさまざまな味わいがギュッと詰まったタイプ。
そばはもちっとした食感で、そばの香りがしっかり感じられる。いわゆる東京の立ち食いそばの味ではないのだが、具もツユもそばも味わい深く、思わずうなってしまうおいしさだ。
ツユはカツオがきいた江戸ツユではなく、甘めでさまざまな味わいがギュッと詰まったタイプ。
そばはもちっとした食感で、そばの香りがしっかり感じられる。いわゆる東京の立ち食いそばの味ではないのだが、具もツユもそばも味わい深く、思わずうなってしまうおいしさだ。
玉子焼き入りのそばに出会うためには、松尾芭蕉ゆかりの地を少し歩く

『芭蕉そば』があるのは、江東区の森下。隅田川、小名木川、大横川に囲まれ、小さな工場や商店の多い、いわゆる下町だ。
飲ん兵衛ならば、大衆酒場の『山利喜』を思い浮かべる人が多いだろう。B級グルメ好きなら、カレーパン発祥の店として知られる『カトレア』だろうか。
飲ん兵衛ならば、大衆酒場の『山利喜』を思い浮かべる人が多いだろう。B級グルメ好きなら、カレーパン発祥の店として知られる『カトレア』だろうか。

『山利喜』や『カトレア』がある清澄通りが森下の中心部にあたる。
駅からその通りを少し南下すると名前のない交差点があり、東側は高橋夜店通り、西側は深川芭蕉通りとなっている。
交差点を右折して深川芭蕉通りを行くと、ポツポツと商店があるものの、平日午後の通りは歩く人も少なく静かだ。
駅からその通りを少し南下すると名前のない交差点があり、東側は高橋夜店通り、西側は深川芭蕉通りとなっている。
交差点を右折して深川芭蕉通りを行くと、ポツポツと商店があるものの、平日午後の通りは歩く人も少なく静かだ。

いつもそばを食べるためにあちこちの町へ行くのだけれど、駅や商店街から少し離れた下町を歩いていると、すごく落ち着く。
ビルばかりが林立する都心と違って、なんだか人やその生活がむきだしになっていて、人間臭さを感じるのだ。
ビルばかりが林立する都心と違って、なんだか人やその生活がむきだしになっていて、人間臭さを感じるのだ。

松尾芭蕉ゆかりの地にポツンと佇む、孤高の蕎麦屋『芭蕉そば』

そんな、なんとも言えない心持ちで深川芭蕉通りをしばらく歩くと、『芭蕉そば』がポツンといった感じであらわれる。
植木に囲まれ、歩道を覆うようにテントが伸びていて、まるで隠れ家のような雰囲気だ。
江戸時代、俳諧師の松尾芭蕉が日本橋から移り住み、森下に草庵を結んだのだが、この『芭蕉そば』もどこか孤高の雰囲気がある。
このちょっと変わった『芭蕉そば』を営んでいるのはいったいどういう人かと思い、店主の出口さんにいろいろと話を聞いてみた。
植木に囲まれ、歩道を覆うようにテントが伸びていて、まるで隠れ家のような雰囲気だ。
江戸時代、俳諧師の松尾芭蕉が日本橋から移り住み、森下に草庵を結んだのだが、この『芭蕉そば』もどこか孤高の雰囲気がある。
このちょっと変わった『芭蕉そば』を営んでいるのはいったいどういう人かと思い、店主の出口さんにいろいろと話を聞いてみた。
辺鄙な場所でも勝算あり!タクシードライバーに大人気

出口さんは実は博多の出身。
25歳で上京し、森下の近く、大島で女性服の製造販売を始めた。その後、50歳で事業を譲って麻雀店を始めたが、徹夜続きの生活で体を壊してしまった。
健康的な生活ができる仕事をしたいと考えていたところ、『芭蕉そば』と同じ場所にあった立ち食いそば店が閉店。
立ち食いそばなら朝も早いし体にいいだろうと居抜きで入ったのが21年前だという。
25歳で上京し、森下の近く、大島で女性服の製造販売を始めた。その後、50歳で事業を譲って麻雀店を始めたが、徹夜続きの生活で体を壊してしまった。
健康的な生活ができる仕事をしたいと考えていたところ、『芭蕉そば』と同じ場所にあった立ち食いそば店が閉店。
立ち食いそばなら朝も早いし体にいいだろうと居抜きで入ったのが21年前だという。

それにしても、このあたりは駅からだいぶ離れていて、近くに飲食店はない。
目立つ施設はすぐ近くにある江東区芭蕉記念館ぐらいだろうか。なぜこんな僻地で店を始めたのかと思ったが、実は地元っ子ならではの勝算があったらしい。
目立つ施設はすぐ近くにある江東区芭蕉記念館ぐらいだろうか。なぜこんな僻地で店を始めたのかと思ったが、実は地元っ子ならではの勝算があったらしい。

まずは近くにタクシー会社がいくつかあり、早朝からドライバーが食べに来てくれる。
また、深川芭蕉通りは清澄方面へ向かう万年橋通りに接続しており、抜け道として使うドライバーが多いのだ。
さらに『芭蕉そば』は信号のある交差点角にあり、ドライバーの目につきやすい。飲食店としては辺鄙な立地だが、立ち食いそば店としては、なかなかの物件だったのである。
また、深川芭蕉通りは清澄方面へ向かう万年橋通りに接続しており、抜け道として使うドライバーが多いのだ。
さらに『芭蕉そば』は信号のある交差点角にあり、ドライバーの目につきやすい。飲食店としては辺鄙な立地だが、立ち食いそば店としては、なかなかの物件だったのである。
そばは奈良県産のそば粉を使用
もちろん、場所がいいだけでは、お客さんは食べに来てくれない。
食材にはかなりこだわりがあり、そばの独特な食感は奈良県産のそば粉を使用しているため。
洋服販売の仕事で全まわっていたとき、好きだった京都のそば店が使っていたそば粉が奈良のものだったのだそう。
ツユが江戸風でないのも、京都のそばに影響を受けたせいだ。
食材にはかなりこだわりがあり、そばの独特な食感は奈良県産のそば粉を使用しているため。
洋服販売の仕事で全まわっていたとき、好きだった京都のそば店が使っていたそば粉が奈良のものだったのだそう。
ツユが江戸風でないのも、京都のそばに影響を受けたせいだ。

出口さんのこだわりはそばやツユだけではない。天ぷらの衣がやけに薄い。
これは胸焼けしないようにと、玉子が8割、小麦粉2割で作った衣で揚げているため。
天ざるセット(700円・春菊とかき揚げをチョイス)を食べてみると、確かに油がくどくなく、野菜のうまみが強く感じられた。
揚げ油にキャノーラ油を使っているのも、くどくない理由だろう。
こだわりのそばは、もりで食べるほうが風味を強く感じられるのでおすすめだ。
これは胸焼けしないようにと、玉子が8割、小麦粉2割で作った衣で揚げているため。
天ざるセット(700円・春菊とかき揚げをチョイス)を食べてみると、確かに油がくどくなく、野菜のうまみが強く感じられた。
揚げ油にキャノーラ油を使っているのも、くどくない理由だろう。
こだわりのそばは、もりで食べるほうが風味を強く感じられるのでおすすめだ。
玉子焼きの理由は、松尾芭蕉にちなんだユニークなものだった

ここでなぜ「芭蕉そば」に玉子焼きが入っているのか出口さんに聞いたのだが、その答えがなんともユニークだった。
松尾芭蕉は当時、俳諧師として有名でお金持ちだったはず。
それならば旅に出るとき、弁当におにぎりと玉子焼きを持っていったのではないかと考えたというのだ。
確かに玉子焼きは江戸当時から食べられていたし、長旅をするためには体力が必要。
松尾芭蕉が玉子焼きを旅先で食べていたとしても不思議ではない。
松尾芭蕉は当時、俳諧師として有名でお金持ちだったはず。
それならば旅に出るとき、弁当におにぎりと玉子焼きを持っていったのではないかと考えたというのだ。
確かに玉子焼きは江戸当時から食べられていたし、長旅をするためには体力が必要。
松尾芭蕉が玉子焼きを旅先で食べていたとしても不思議ではない。

ちなみに『芭蕉そば』のいなり(80円)はきんぴらが入っていて、ごはんもたっぷり。
旅に持っていくなら、個人的にはこのいなりと玉子焼きがいいかな。
旅に持っていくなら、個人的にはこのいなりと玉子焼きがいいかな。

芭蕉そばの店内にはスズメがよく入ってくる。
お客さんがごはん粒をあげたところ入ってくるようになってしまったそうなのだが、かわいいスズメの姿を見ていると、なんとも和む。
お客さんがごはん粒をあげたところ入ってくるようになってしまったそうなのだが、かわいいスズメの姿を見ていると、なんとも和む。

芭蕉そばの店前にはベンチが置いてあり、食後にそこへ座って休んでいるお客さんも多い。
『芭蕉そば』は、なんだかやたらに居心地がいいのだ。
松尾芭蕉は俳諧のために旅を続けたが、もしこの店があったら居心地が良くて、そうそう旅には出なかったかもしれない。
『芭蕉そば』は、なんだかやたらに居心地がいいのだ。
松尾芭蕉は俳諧のために旅を続けたが、もしこの店があったら居心地が良くて、そうそう旅には出なかったかもしれない。

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- 東京ソバット団
- 本橋隆司=美味い立ち食いそばを求めて西へ東へ。バッと行ってバッと食ってバッと帰る東京ソバット団の団長。そば以外にもフリーの編集、ライターとしてウェブなどで仕事中。近著『立ち食いそば大図鑑』(スタンダーズプレス)、FBページ「https://www.facebook.com/tokyosobatdan/」
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