更新日:
2023年12月19日
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君は“ヤシオスタン”を知ってるか?『カラチの空』の本気のパキスタン料理がガチ旨!
誰が呼んだか「ヤシオスタン」は、パキスタンコミュニティが発展した埼玉県八潮市のニックネーム。この町で9年続く『カラチの空』のビリヤニやサーグなど本場のパキスタン料理は、日本人が食べても滅法うまいんです。——日本の日常に溶け込んだ異国の料理店で働く人々の人生に触れる連載『辺境食堂』第4回です。(2019年8月7日公開)
- Sainowaki
“ヤシオスタン”の異空間で味わう本物のパキスタン料理
だれが呼んだか「ヤシオスタン」。埼玉県南部、八潮市のニックネームだ。
八潮には元々、海外輸出向け中古車のオークション会場があり、バブル景気に沸き立った1990年代、この商売に目をつけたパキスタン人が続々と移住。コミュニティが形成された。
この街のパキスタン人の多くが、いまも中東向けをメインとした中古車輸出業を営んでいる。
外国人コミュニティがあるところ、その国の食堂が必ずある。
八潮にはパキスタン食堂が3軒あり、中でも『カラチの空』は本場の味が楽しめると評判だ。
つくばエクスプレスの八潮駅から北に歩くこと20分ほど。
待っていたのはヤシオスタンならではの異空間だった。
八潮には元々、海外輸出向け中古車のオークション会場があり、バブル景気に沸き立った1990年代、この商売に目をつけたパキスタン人が続々と移住。コミュニティが形成された。
この街のパキスタン人の多くが、いまも中東向けをメインとした中古車輸出業を営んでいる。
外国人コミュニティがあるところ、その国の食堂が必ずある。
八潮にはパキスタン食堂が3軒あり、中でも『カラチの空』は本場の味が楽しめると評判だ。
つくばエクスプレスの八潮駅から北に歩くこと20分ほど。
待っていたのはヤシオスタンならではの異空間だった。
日本語、英語にウルドゥ語(パキスタンの公用語)が混じった派手な外観に圧倒され、恐る恐るドアを開けた私は心地いいスパイスの香りに包まれた。
目に映るのはウルドゥ語が並ぶ「本日のメニュ」に、パキスタン名物のデコトラやモスクの写真。
礼拝を終えたパキスタン人たちが談笑するかたわらで、日本人カップルがナンとカレーに舌鼓を打つ——。
この街で脈々と培われてきた共生の形が、そこにはあった。
礼拝を終えたパキスタン人たちが談笑するかたわらで、日本人カップルがナンとカレーに舌鼓を打つ——。
この街で脈々と培われてきた共生の形が、そこにはあった。
日本一うまい「ビリヤニ」は丹念な職人仕事の結晶
来日33年、この店を開いて9年になるジャベイドさんが、「ウチの一番人気」といって出してくれたのがビリヤニ。南アジア一帯に広がる炊き込みごはんだ。
パキスタンの祝いの席に欠かせないビリヤニは、見た目の美しさはもとより、10種類以上のスパイスが醸し出す香りに魅了される。
日本一とも評される『カラチの空』のビリヤニは、職人の丹念な仕事の結晶。
ビリヤニは細長いバスマティライスと具を一緒に炊き込むことが多いが、この店では本国の伝統を守ってライスとカレーを交互に重ねながら焚き込むため、色と味、食感の変化が楽しめる。
このひと皿を目当てに、茨城や群馬、神奈川といった遠方から足を運ぶ常連がいるのも納得だ。
パキスタンの祝いの席に欠かせないビリヤニは、見た目の美しさはもとより、10種類以上のスパイスが醸し出す香りに魅了される。
日本一とも評される『カラチの空』のビリヤニは、職人の丹念な仕事の結晶。
ビリヤニは細長いバスマティライスと具を一緒に炊き込むことが多いが、この店では本国の伝統を守ってライスとカレーを交互に重ねながら焚き込むため、色と味、食感の変化が楽しめる。
このひと皿を目当てに、茨城や群馬、神奈川といった遠方から足を運ぶ常連がいるのも納得だ。
本当のサーグは菜の花じゃなきゃダメ
ビリヤニだけではない。この店には「サーグゴースト」という名物がある。
日本ではなかなかお目にかかれない、骨付きマトンが入った菜の花のカレーだ。
サーグというと日本ではほうれん草のイメージが強いが、「パキスタンでサーグといったら菜の花じゃなきゃダメ」と、ジャベイドさんはこだわりを見せる。
菜の花の茎を煮つめたカレーは、まろやかで深みがあって歯応えも十分。しっかりと味の染みたマトンとの相性も抜群で、スプーンが止まらなくなる。
日本ではなかなかお目にかかれない、骨付きマトンが入った菜の花のカレーだ。
サーグというと日本ではほうれん草のイメージが強いが、「パキスタンでサーグといったら菜の花じゃなきゃダメ」と、ジャベイドさんはこだわりを見せる。
菜の花の茎を煮つめたカレーは、まろやかで深みがあって歯応えも十分。しっかりと味の染みたマトンとの相性も抜群で、スプーンが止まらなくなる。
「これはクセになりますねえ」と大満足の私を、ジャベイドさんは厨房へ案内してくれた。
そこに鎮座していたのが巨大な釜とハンマー!
「菜の花の茎は太いから、このハンマーでつぶしながら、とろ火で煮込むんだ。出来上がるまで、4、5時間はかかるんだよ」
体力と根気がいるため、パキスタンでもサーグを作る家庭は減っているらしい。
そのため、本国からやって来た同胞が『カラチの空』のサーグに感動することもしばしばだとか。
そこに鎮座していたのが巨大な釜とハンマー!
「菜の花の茎は太いから、このハンマーでつぶしながら、とろ火で煮込むんだ。出来上がるまで、4、5時間はかかるんだよ」
体力と根気がいるため、パキスタンでもサーグを作る家庭は減っているらしい。
そのため、本国からやって来た同胞が『カラチの空』のサーグに感動することもしばしばだとか。
日本人向けにアレンジしないからこそ旨い、本場の味
異国の街で、祖国の伝統の味を守り続ける『カラチの空』。
多くの店のように、日本人向けに味をアレンジしようとしなかったのは、なぜか。
ジャベイドさんが、その理由を語り始めた。
多くの店のように、日本人向けに味をアレンジしようとしなかったのは、なぜか。
ジャベイドさんが、その理由を語り始めた。
「10代で日本に暮らし始めて、いろんな街にパキスタン料理を食べに行ったんだ。でも、どこも日本人向けの味。違う、これじゃないと思った。自分の国の味を食べられないのは寂しいでしょ?
それにぼくは、パキスタンの味を日本のみんなに知ってほしい。その思いから、この店を始めたんだ。
パキスタン人の仲間には、さんざん注意されたよ。『パキスタンの味のままじゃ、日本人のお客さんは来ないよ、つぶれるよ』って。
でもぼくは、どんなにお客さんが来なくても1年は続ようと思った。1年やってダメだったら、やめるつもりで始めたんだ」
仲間の心配をよそに、日本人客は着々と増えていった。パキスタンの味は、日本でも受け入れられた。
地元はもちろん、遠方の日本人にも愛される『カラチの空』。共生の街ヤシオスタンになくてはならないシンボルである。
※ジャベイドさん在店時に限り、2〜8名まではワゴン車で送迎あり。詳しくは電話でお問い合わせください。
それにぼくは、パキスタンの味を日本のみんなに知ってほしい。その思いから、この店を始めたんだ。
パキスタン人の仲間には、さんざん注意されたよ。『パキスタンの味のままじゃ、日本人のお客さんは来ないよ、つぶれるよ』って。
でもぼくは、どんなにお客さんが来なくても1年は続ようと思った。1年やってダメだったら、やめるつもりで始めたんだ」
仲間の心配をよそに、日本人客は着々と増えていった。パキスタンの味は、日本でも受け入れられた。
地元はもちろん、遠方の日本人にも愛される『カラチの空』。共生の街ヤシオスタンになくてはならないシンボルである。
※ジャベイドさん在店時に限り、2〜8名まではワゴン車で送迎あり。詳しくは電話でお問い合わせください。
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