更新日:
2023年02月28日
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ホテル1階でミシュラン出身シェフ。南船場の立飲み『ぽん酒マニア』が何かとオイシすぎる
場所はホテルの1階で、ミシュラン一つ星のフレンチ出身シェフがつくる創作和食が1杯100円〜の日本酒と抜群に合って。そんな立ち飲みほかにある?——変貌を遂げゆく大阪の街で、一見ではなかなかたどり着けない最深部の大阪グルメを神出鬼没にレポートする連載です。(2019年8月22日公開)
- 加藤慶
- 愛知県生まれの大阪在住。本業は政治や事件から...
オシャレすぎる立ち飲みで、創作和食と日本酒を堪能
「路面店を探していて梅田、福島、天満と候補があったんですが、たまたまここが空いていた。ホテル内にあって立地もバツグン。箱的にも『いいやん』となってすぐさま申し込んだんですが、6店が競合。プレゼンの末、オープンにこぎつけました」(店長)
南船場の「IP CITY HOTEL」1階にある『ぽん酒マニア』は、ミシュラン一つ星のフレンチでシェフをしていた店長の中曽拓馬さん(29)と、主に経営を担う代表の阿多一馬さん(28)の2人が手掛ける立ち呑み屋だ。
実はこの2人、中学時代の同級生。
「いつか一緒にやろう」と言っていた約束が実を結んだのがつい先日で、日本酒が主体の立ち呑みを7月9日にオープンしたばかりだ。
南船場の「IP CITY HOTEL」1階にある『ぽん酒マニア』は、ミシュラン一つ星のフレンチでシェフをしていた店長の中曽拓馬さん(29)と、主に経営を担う代表の阿多一馬さん(28)の2人が手掛ける立ち呑み屋だ。
実はこの2人、中学時代の同級生。
「いつか一緒にやろう」と言っていた約束が実を結んだのがつい先日で、日本酒が主体の立ち呑みを7月9日にオープンしたばかりだ。
ホテル側から店に入ろうとすると、大理石の床に木目の壁とおよそ立ち飲みらしくない佇まいに気圧されるが、なにより気になるのは明らかに短い暖簾。
これはこれでいいかと思わせるオシャレさがあるとも言えるが、じつは単にサイズを間違えて発注してしまったそうな(笑)。
ちなみに表通り側の暖簾は普通の長さだが、なにせホテルの1階だけに、立ち飲みに似つかわしくない気品が漂う。
これはこれでいいかと思わせるオシャレさがあるとも言えるが、じつは単にサイズを間違えて発注してしまったそうな(笑)。
ちなみに表通り側の暖簾は普通の長さだが、なにせホテルの1階だけに、立ち飲みに似つかわしくない気品が漂う。
こだわり抜いた常時50種の日本酒が、おちょこ1杯100円から
「マニア」というだけあって日本酒は充実。常時約50種をお手軽に飲める。
価格は量によって3段階に設定されており、最低価格はおちょこ100円、グラス380円、1合750円から(いずれも税抜)。
価格は量によって3段階に設定されており、最低価格はおちょこ100円、グラス380円、1合750円から(いずれも税抜)。
器の大きさで対比すると分かりやすいだろう。
右からおちょこ、グラス、一合となる。
「気軽に飲みたい、気軽に働きたいと思ってこのお店を始めたんです。形式ばったお店でストレスを感じたくないので」(店長)
とはいえ、料理は何を食べても驚嘆するレベルだ。
「気軽に飲みたい、気軽に働きたいと思ってこのお店を始めたんです。形式ばったお店でストレスを感じたくないので」(店長)
とはいえ、料理は何を食べても驚嘆するレベルだ。
『ぽん酒マニア』ならではの、アレンジとこだわり
「島らっきょと豆苗塩昆布和え」(380円/税抜)を一口食べた瞬間、よくもまあこんな料理を創作できたもんだと感銘を受けたのだ。
島らっきょを斜め切りにして豆苗とコラボレーション。食べると豆苗の後から島らっきょが追いかけてきて、違和感がまったくない。いうなれば、豆苗の親戚の位置づけに島らっきょがいるような感じ。
「実は島らっきょの塩昆布和えを食べたことがあったんですが、食感と香り、色が足りないと思っていた。それで私がアレンジしてこの料理になったんです」(店長)
島らっきょを斜め切りにして豆苗とコラボレーション。食べると豆苗の後から島らっきょが追いかけてきて、違和感がまったくない。いうなれば、豆苗の親戚の位置づけに島らっきょがいるような感じ。
「実は島らっきょの塩昆布和えを食べたことがあったんですが、食感と香り、色が足りないと思っていた。それで私がアレンジしてこの料理になったんです」(店長)
この料理に合わせるには、オーソドックスな日本酒「雪男」(380円/税抜)をグラスで注文。切子グラスになみなみと注がれて味は甘め。
「青木酒造さんと仲良くさせてもらっているんです。酒造にもかれこれ4回行っています。飲料水は青木酒造さんに何度もお願いをして、井戸水を提供してもらっています」(代表)
「青木酒造さんと仲良くさせてもらっているんです。酒造にもかれこれ4回行っています。飲料水は青木酒造さんに何度もお願いをして、井戸水を提供してもらっています」(代表)
1本1本瓶詰されたお水。最初は断られたというが、情熱が実って承諾を得て、凝った瓶詰が完成した。
あっという間に飲み干して、同じ青木酒造の「鶴齢」の特別純米爽醸をグラス(480円/税抜)でオーダー。
あっという間に飲み干して、同じ青木酒造の「鶴齢」の特別純米爽醸をグラス(480円/税抜)でオーダー。
こちらは辛めであとからガツンと来るタイプの日本酒だった。
合せた料理は「酒粕フォアグラバター」(480円/税抜)と「ウフミソ」(380円/税抜)の2品。
合せた料理は「酒粕フォアグラバター」(480円/税抜)と「ウフミソ」(380円/税抜)の2品。
フレンチの手法を見事に昇華した創作和食の数々
「酒粕フォアグラバター」は、ほぼフォアグラで出来たコンフィ。
この中の30%が酒粕で、隠し味はドライマスカット。酒粕のパンチがあるからチビチビ食べながら日本酒ともよく合う。
この中の30%が酒粕で、隠し味はドライマスカット。酒粕のパンチがあるからチビチビ食べながら日本酒ともよく合う。
「ウフミソ」は野菜の水分を飛ばして炒めた、いわゆるミルポワ。
「野菜から出た水分と八丁味噌で出来ているんですが、辛くないのはほぼ野菜でできているから。野菜の甘みが味噌の絡みを相殺しているんですね。上に載っているのは龍のたまごで、周りにはごぼうのチップ。ごぼうは香りづけですね」(店長)
龍のたまごは、濃厚でコクがある高級たまご。これほど手間暇かけて380円とは安すぎや!
「野菜から出た水分と八丁味噌で出来ているんですが、辛くないのはほぼ野菜でできているから。野菜の甘みが味噌の絡みを相殺しているんですね。上に載っているのは龍のたまごで、周りにはごぼうのチップ。ごぼうは香りづけですね」(店長)
龍のたまごは、濃厚でコクがある高級たまご。これほど手間暇かけて380円とは安すぎや!
創作料理があまりにも美味しすぎて再び追加注文。
「炙りさばとじゃがいも~アンチョビバター~」(480円/税抜)と「牛ミスジの塩麹焼き」(580円/税抜)に加え、滋賀の名酒「笑四季」に決めた。
「笑四季」はセンセーショナルBとWがあってどちらもグラスで480円。Bは重めでWは甘め。パッケージが英語で書かれているように海外を意識した「OSAKE」だ。
「炙りさばとじゃがいも~アンチョビバター~」(480円/税抜)と「牛ミスジの塩麹焼き」(580円/税抜)に加え、滋賀の名酒「笑四季」に決めた。
「笑四季」はセンセーショナルBとWがあってどちらもグラスで480円。Bは重めでWは甘め。パッケージが英語で書かれているように海外を意識した「OSAKE」だ。
「炙りさばとじゃがいも~アンチョビバター~」の完成度にも度肝を抜かれた……。
生さばを軽くクールブイヨンして、焦がしたアンチョビソースにレモンを少しつけると完成。
一見すると奇妙な組み合わせだが、食すと“疑心暗鬼な迷い”が一気に吹っ飛んだ。
「和食は引き算、フレンチは足し算と言いますよね」
とは店長の中曽さん。その通りのでき栄えだと思う。フレンチによって和食がワンステップ上がったというイメージだ。
生さばを軽くクールブイヨンして、焦がしたアンチョビソースにレモンを少しつけると完成。
一見すると奇妙な組み合わせだが、食すと“疑心暗鬼な迷い”が一気に吹っ飛んだ。
「和食は引き算、フレンチは足し算と言いますよね」
とは店長の中曽さん。その通りのでき栄えだと思う。フレンチによって和食がワンステップ上がったというイメージだ。
「牛ミスジの塩麹焼き」は麹の香りとミスジの張りのある肉質に、振りかけられた黒胡椒が絶妙なハーモニー。シンプルに声が出た。
なんでこんなに旨いんや!!
なんでこんなに旨いんや!!
オリジナリティの源泉はお客の要望にあり!
左が代表の阿多さん、右が店長の中曽さん。
実は阿多さんも、東京で香港バルやスパイスバルなど計4店舗の統括店長を任せられていたほど料理通。2人とも食べ歩きが趣味で、とにかくコダワリが凄い。
「オープン当初にあった日本酒が随分と変わりましたね。僕の趣味で純米大吟醸ばかり置いていたんですが、これでは駄目だと(笑)。お客さんからもっと色々と入れて欲しいとの要望があって、銘柄を変化させたんです」(代表)
「日本酒は生ものです。ボトルを空けた瞬間から劣化がはじまる。この日本酒を回していくのが難しいです。酒造の人から日々変化するお酒もそれはそれで味わい深いと言われるんですが、なかなかですね」(店長)
お客の要望を取り入れつつ、オリジナリティを追求するこの店、まだまだ日々変化していくことだろう。
でも足を運べばいつだって、料理と日本酒の価値をきっと見いだせるはずだ。
実は阿多さんも、東京で香港バルやスパイスバルなど計4店舗の統括店長を任せられていたほど料理通。2人とも食べ歩きが趣味で、とにかくコダワリが凄い。
「オープン当初にあった日本酒が随分と変わりましたね。僕の趣味で純米大吟醸ばかり置いていたんですが、これでは駄目だと(笑)。お客さんからもっと色々と入れて欲しいとの要望があって、銘柄を変化させたんです」(代表)
「日本酒は生ものです。ボトルを空けた瞬間から劣化がはじまる。この日本酒を回していくのが難しいです。酒造の人から日々変化するお酒もそれはそれで味わい深いと言われるんですが、なかなかですね」(店長)
お客の要望を取り入れつつ、オリジナリティを追求するこの店、まだまだ日々変化していくことだろう。
でも足を運べばいつだって、料理と日本酒の価値をきっと見いだせるはずだ。
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- 加藤慶
- 愛知県生まれの大阪在住。本業は政治や事件から芸能スキャンダルまで取材する週刊誌の記者兼カメラマン。食べ歩きが趣味で鶴橋や西成に頻繁に出没中…。
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