徳島ラーメンのルーツは戦後から出ていた小松島港の屋台。
それがいつしか徳島市に広がり、お店が増えていったと言われている。

一般的に知られる徳島ラーメンは白濁した豚骨スープに濃口醤油を加えたものだが、実は徳島ラーメンには「黒」「白」「黄色」の3種類がある。

鶏ガラなどの清湯スープが特徴の中華そばは「黄」、白濁の豚骨スープに薄口醤油を合わせた「白」、そして一般的に知られる豚骨スープに濃口醤油を合わせた「黒」である。
「黒」系の有名店「いのたに」が、1998年に「新横浜ラーメン博物館」に出店したのをきっかけに知名度が上がり、徳島ラーメンといえば「黒」のイメージとなった。

チャーシューの代わりに甘く煮た豚バラ肉が乗り、生卵を合わせるお店が多いことが大きな特徴だ。薄いお肉を生卵に絡めるので「すき焼き」風のラーメンと表現する人もいる。
すき焼きを想像すれば分かる通り、ご飯がとても合うので、徳島ラーメンのお店でのライス率はとても高い。

都内で食べられる徳島ラーメンとしてまずオススメしたいのが早稲田の『うだつ食堂』。
入れ替わりの激しい早稲田エリアで20年続く老舗だ。

こちらが「肉そば（並）」900円＋「生卵トッピング」100円＋「めし」100円（すべて税込）。
スープは濃いめの豚骨醤油で、豚バラは少し甘めでスープとのバランスがいい。
モヤシのシャキシャキ感がいいアクセントになっている。

ラーメンももちろん旨いが、ライスに豚バラを乗せて巻いて食べるとさらに旨い。生卵は途中で割って肉に絡めてマイルドに。
卓上の唐辛子ペーストをご飯にかけるのもオススメだ。

そして、新たな徳島ラーメンともいうべき洗練された一杯を提供しているのが、高円寺の『中華そば JAC』だ。
濃厚味噌ラーメンの有名店「麺処くるり」出身だが、店主の故郷である徳島のラーメンをブラッシュアップして極上の一杯を完成させた。

こちらが「JACラーメン」900円＋「ライス」100円（ともに税込）。
濃厚な豚骨にまろやかな醤油ダレを合わせていて、しっかり厚みはあるのに臭みはなく、仕事の丁寧さが窺える。

麺はコシがある低加水麺でいい存在感。生卵もあるが、ここは味玉もオススメ。半熟で中まで味が入っていてとても美味しい。

途中で卓上のすだちを入れると、スープの味が締まってとてもいい味変になる。徳島ならではのすだちを合わせるところがニクイ。素朴な徳島ラーメンとは一線を画する一杯だ。

都内で徳島ラーメンの個人店はなかなかないので、ぜひ足を運んでみてほしい。