更新日:
2023年01月11日
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予約の取れない中華、荒木町『南三』の独創的なウイグルソーセージを生み出す「ミンサー」
荒木町『南方中華料理 南三』は中国辺境に着想を得た独創的な料理で、オープン1年にして予約の取れない名店に成長。オーナーシェフ水岡孝和さんに唯一無二ともいえるこだわりを伺いました。——一流の料理人が自ら愛用する3つの道具へのこだわりを語り、料理への哲学を詳らかにする連載『料理のプロの三種の神器』です。(全3話・前編/2019年10月16日公開)
- Sainowaki
2018年5月のオープンから1年にして予約が取れない店に成長。「枠にはまらない中華料理」と評判の店『南方中華料理 南三』。店主の水岡孝和さんは、中国各地を旅してマニアックな食材や郷土料理に出会い、それらを自分のフィルターにかけて追求、唯一無二の中華料理に昇華させた。ストイックな料理人・水岡さんの料理と、日頃から愛用する道具について伺った。(全3話・前編)
中国各地のエッセンスが凝縮した看板メニューの自家製ソーセージ
四谷・荒木町の路地を進み、ゆるやかな下り坂の途中のビルの2階に『南三』はある。ドアを開けると、すでに水岡さんが取材の準備をしてくれていた。
「まずは、料理を出してもいいですか。落ち着かないので」
「まずは、料理を出してもいいですか。落ち着かないので」
こちらとしても望むところ。さっそく、出てきたのは、看板メニューのひとつでもある「自家製ウイグルソーセージの盛り合わせ」。
主役のウイグルソーセージは手前、真ん中は豚の大腸詰。そして、その左側は燻製にした鴨の舌。
五香粉をぱらり、粒マスタードも添えられ、たっぷりの香菜とともに。
主役のウイグルソーセージは手前、真ん中は豚の大腸詰。そして、その左側は燻製にした鴨の舌。
五香粉をぱらり、粒マスタードも添えられ、たっぷりの香菜とともに。
ソーセージは、ふんわりとやわらかく、羊肉とスパイスの風味が食欲を刺激する。
大腸詰はスパイスとともにやわらかく煮た豚のレバーや心臓に、アクセントとして生の青ねぎを入れる。表面には水あめと酢を塗り半日干して仕上げ、高温でパリッと揚げる。噛むと口の中で青ねぎがとろり。青ねぎの甘みとスパイスの風味が絡まり、さわやかジューシー。
鴨の舌は日本ではまだ珍しいが、香ばしく、北京ダックのよう。味と香りと食感と、それぞれを五感で味わえる楽しい前菜だ。
大腸詰はスパイスとともにやわらかく煮た豚のレバーや心臓に、アクセントとして生の青ねぎを入れる。表面には水あめと酢を塗り半日干して仕上げ、高温でパリッと揚げる。噛むと口の中で青ねぎがとろり。青ねぎの甘みとスパイスの風味が絡まり、さわやかジューシー。
鴨の舌は日本ではまだ珍しいが、香ばしく、北京ダックのよう。味と香りと食感と、それぞれを五感で味わえる楽しい前菜だ。
影響を受けた台南、湖南、雲南が『南三』の店名の由来
20代前半から、台湾への語学留学も含め、中国各地を旅した水岡さん。なかでも、好きで影響を受けた料理が台南、湖南、雲南。この3つの「南」が店名を『南三』とした由来だ。
雲南で食べた料理を台南の調理法で試してるなど試行錯誤を重ねて、どこにもない、このお店にしかない中華料理を生み出した。
水岡さんは、中国各地で市場を覗きつつ、現地の人たちの生活を体験。日常のごはんや伝統食を食べ歩く。素材や調理法など知らないことをどんどん質問して、答えを自分のなかの引き出しにインプットした。
自分流のソーセージを作ろうと思ったのは 中国・新疆ウイグル自治区の旅の途中、現地で羊の内臓を詰めたソーセージを食べたことから。
「おいしかったです。でも、もっとおいしくできるな、とも思ったんです。食感がね、ちょっとボソボソしてたし」
雲南で食べた料理を台南の調理法で試してるなど試行錯誤を重ねて、どこにもない、このお店にしかない中華料理を生み出した。
水岡さんは、中国各地で市場を覗きつつ、現地の人たちの生活を体験。日常のごはんや伝統食を食べ歩く。素材や調理法など知らないことをどんどん質問して、答えを自分のなかの引き出しにインプットした。
自分流のソーセージを作ろうと思ったのは 中国・新疆ウイグル自治区の旅の途中、現地で羊の内臓を詰めたソーセージを食べたことから。
「おいしかったです。でも、もっとおいしくできるな、とも思ったんです。食感がね、ちょっとボソボソしてたし」
そこで思い出したのが、台湾の屋台で食べたベジタリアン向けの腸詰。ピーナッツや干しエビをもち米とともに腸詰にしてあり、うまくまとまり食感がよかった。
ソーセージにはサラミのようなハードなタイプもあるが、やわらかめのほうが味とのバランスがよさそうだ。そしてひらめいた。
「本で読んだ、ヨーロッパのソーセージの『エマルジョン』という技法を使おうと思いました。肉と脂を練って乳化させながら作るやり方です」
水岡さんが作るウイグルソーセージは、雑穀を混ぜることで出る、もっちり感というか弾力があり、ふんわりとした練りもののような食感を大切にしている。プチプチっと舌に触る感覚があり、噛むとにじみ出る肉汁の旨味もいい。
「ミンチを混ぜるときも摩擦熱が出ないように、フードプロセッサーを氷水で冷やしながら作業しないと乳化しません。羊肉を、やわらかいながらもバラけない程度にまとめるのがポイントです」
ソーセージにはサラミのようなハードなタイプもあるが、やわらかめのほうが味とのバランスがよさそうだ。そしてひらめいた。
「本で読んだ、ヨーロッパのソーセージの『エマルジョン』という技法を使おうと思いました。肉と脂を練って乳化させながら作るやり方です」
水岡さんが作るウイグルソーセージは、雑穀を混ぜることで出る、もっちり感というか弾力があり、ふんわりとした練りもののような食感を大切にしている。プチプチっと舌に触る感覚があり、噛むとにじみ出る肉汁の旨味もいい。
「ミンチを混ぜるときも摩擦熱が出ないように、フードプロセッサーを氷水で冷やしながら作業しないと乳化しません。羊肉を、やわらかいながらもバラけない程度にまとめるのがポイントです」
シンプルな「ミンサー」がソーセージ作りに欠かせない
さて、道具のはなし。今回、長年の相棒として水岡さんが紹介してくれたのはミンサー。ウイグルソーセージは、これがないとどうにもならない。
ソーセージメーカー、ソーセージスタッファーなど、ソーセージ作りのためのマシーンもある中、あえてミンサーだ。
「もともと道具は選ばないというか、それほどこだらわないのですが、これは、肉をミンチにしながらソーセージも作れるのがいいんです。ミンチにすると肉がダメージを受けるので、ソーセージを作る直前に肉の塊からミンチにしたい。これ1台でそれが可能になりました」
月に1度か2度、店の休業日に丸一日かけてソーセージ作りをする水岡さん。
一度に10kgの肉と5kgの押し麦など雑穀を使って、15kgほどのソーセージを仕込む。
「効率を考えると丈夫でシンプルなミンサーが一番」と、これにたどり着いた。
これは、兵庫県にある福農産業株式会社で作られていて、水岡さんはサイズ感と丈夫なところが気に入っている。
「作業スペースが広ければ、ミンサーとメーカーを2台並べて置いたかもしれません。でも、現状では無理。このサイズがちょうどいい大きさなんです」
馬力があってタフなマシーンは、なんとなく水岡さん自身のイメージとだぶる。
「近い将来、ウイグルソーセージを通販でも展開できたらいいなと思っていてます。この店の近くに、ソーセージ工房と立ち飲みができるスタンドが一緒になったようなスペースも持ってみたいですね」
ミンサーが生み出すのはおいしいソーセージだけではない。そこには「予約が取れない店」に満足することのない、水岡さんの大きなビジョンがある。
(中編に続く)
ソーセージメーカー、ソーセージスタッファーなど、ソーセージ作りのためのマシーンもある中、あえてミンサーだ。
「もともと道具は選ばないというか、それほどこだらわないのですが、これは、肉をミンチにしながらソーセージも作れるのがいいんです。ミンチにすると肉がダメージを受けるので、ソーセージを作る直前に肉の塊からミンチにしたい。これ1台でそれが可能になりました」
月に1度か2度、店の休業日に丸一日かけてソーセージ作りをする水岡さん。
一度に10kgの肉と5kgの押し麦など雑穀を使って、15kgほどのソーセージを仕込む。
「効率を考えると丈夫でシンプルなミンサーが一番」と、これにたどり着いた。
これは、兵庫県にある福農産業株式会社で作られていて、水岡さんはサイズ感と丈夫なところが気に入っている。
「作業スペースが広ければ、ミンサーとメーカーを2台並べて置いたかもしれません。でも、現状では無理。このサイズがちょうどいい大きさなんです」
馬力があってタフなマシーンは、なんとなく水岡さん自身のイメージとだぶる。
「近い将来、ウイグルソーセージを通販でも展開できたらいいなと思っていてます。この店の近くに、ソーセージ工房と立ち飲みができるスタンドが一緒になったようなスペースも持ってみたいですね」
ミンサーが生み出すのはおいしいソーセージだけではない。そこには「予約が取れない店」に満足することのない、水岡さんの大きなビジョンがある。
(中編に続く)
水岡孝和(みずおかたかかず)
渋谷の「天厨菜館」から料理人としてのキャリアをスタート。その後、「A-Jun」 「桃の木」「黒猫夜」と都内の中華の名店を経て、台湾へ語学留学。20歳前半から中国各地を旅するようになり、現地で食した郷土食からヒントを得て新しい中華料理を確立。2018年5月に『南三』をオープンさせる。現在も年に2~3度は渡中し、研究に余念がない。
渋谷の「天厨菜館」から料理人としてのキャリアをスタート。その後、「A-Jun」 「桃の木」「黒猫夜」と都内の中華の名店を経て、台湾へ語学留学。20歳前半から中国各地を旅するようになり、現地で食した郷土食からヒントを得て新しい中華料理を確立。2018年5月に『南三』をオープンさせる。現在も年に2~3度は渡中し、研究に余念がない。
四谷・荒木町『南三』
中国の中でも雲南、湖南、そして台湾は台南の料理をベースした料理店。中華といえば、餃子やエビチリという概念を覆し、山海の素材を活かすパーブやスパイスを利かせた中華料理が味わえる。2018年5月にオープン。その直後から「こんな中華はじめて!」とグルメたちをざわつかせ、たちまち予約困難な人気店となる。料理は「おまかせコース」6,000円(税抜)のみ。予約情報はFBにて。
中国の中でも雲南、湖南、そして台湾は台南の料理をベースした料理店。中華といえば、餃子やエビチリという概念を覆し、山海の素材を活かすパーブやスパイスを利かせた中華料理が味わえる。2018年5月にオープン。その直後から「こんな中華はじめて!」とグルメたちをざわつかせ、たちまち予約困難な人気店となる。料理は「おまかせコース」6,000円(税抜)のみ。予約情報はFBにて。
(写真=松園多聞 Matsuzono Tamon)
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